伝統とモダンが織りなす【有田】と【唐津】
ウエステンホテル東京
20012年
9月13日(木)~10月1日(月)、ウェスティンホテル東京2階にあります日本料理「舞」にてアートイベント【伝統とモダンが織りなす「有田」と「唐津」】が開催されました。
注目すべき2名の若手伝統工芸作家さんにスポットをあて、素晴らしい作品の数々を日本料理「舞」店内および、 2階ホワイエにて展示いたしました。
また、会期中は2名の作家さんの素晴らしい器による日本料理の会席のコースが登場。斉藤料理長の繊細なお料理と共に「有田焼」森奈保美氏、「唐津焼」矢野 直人氏の 技と美意識を 存分にご堪能いただきました。前谷は、このアート展の空間演出と、プロデュースを担当。季節の植物とのコラボレーションを楽しんで頂き、
大好評のうち終了致しました。ありがとうございました。 ( 前谷裕一氏記 )
【作家ご紹介】
■ 有田焼・赤絵染付 森 奈保美氏
1970年生。
手びねりのインストラクタ―を経て有田窯業学校絵付科に入学 。
上絵付と下絵付ができ高い技術を誇る数少ない絵付師。
2006年 幻の名品といわれる明治中期の有田焼【明治伊万里】の復刻事業に抜擢され、細い筆先で極限的に細密に描かれる紋様の美しさに 専門家も絶賛。有田の特徴である赤絵作家の第一人者。
詳細はギャラリー花伝欄 森奈保美氏ご紹介をご覧ください。
■ 唐津焼・矢野 直人氏
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矢野直人氏略歴
1976 唐津市に生まれる。
1994 5年間アメリカ留学
2002 佐賀県立有田窯業大学校卒業
2003 佐賀県立有田窯業大学校嘱託講師
2004 自宅 殿山窯にて作陶始める
2008 韓国 蔚山にて6ヶ月作陶
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「矢野 直人」 氏 とは。。。
唐津若手の中で今もっとも注目を集める作家が矢野直人氏である。1976年生まれの若手ながら、朝鮮唐津の 花入、絵唐津や黒唐津の壺、皮鯨、斑唐津のぐい呑、食器など桃山の古唐津を彷彿させる多彩な作品を作る。
30歳から始めた氏の作陶は長いとは言えないが、もともとは高校時代に1年間の交換留学を経て、計5年間をアメリカで過ごし油絵などを学ぶところから氏の美術のキャリアはスタートしたと言ってもいいかもしれない。絵画の勉強をし帰国後、偶然にもであった古唐津の茶碗に心を奪われたという。それまでの自分のイメージの中だけの唐津焼とは一線を画すその魅力に引き込まれ陶芸家を志すようになる。
有田の窯業学校で陶芸の基礎を一から学び、地元の古唐津研究会などに積極的に参加し諸先輩作家に教えを乞いながら地道に研究を重ねた。氏の父も陶芸家であったが、父の下で長年修業したわけでもなく、他の作家に弟子入りすることもなかった。独学ゆえに、ある一定の枠にとらわれることなく自由に作陶を始めた氏の作品は、ひとことで言うと原点回帰的な作品が多いように思われる。
矢野氏などの30代の作家のひとつ上の世代。今では中堅作家と言われる作家達が、釉薬共に前衛的で新しい方向性の唐津を打ち出したことと対照的に、中里無庵の唐津第一世代、逢庵、重利、隆などの第二世代に作風が若干戻りつつあるように思える。これはもちろん、中里無庵以降、すべての唐津の世代の技術を集約しつつあるということで、矢野氏の中で多くの諸先輩作家の技術を取り入れ、自身なりの消化の仕方をしているようだ。この作品はこの作家のあの技法を用いている、ということは見て取れるが、それは今の時代に合った矢野氏の唐津なのであって、単に模倣したものとは異なる。荒々しい朝鮮唐津、繊細な山瀬の斑唐津、李朝を思わせる面取りされた黒唐津の壺など作り出す作品は多彩である。
個展の初日には多くの人が列を作り、こぞって矢野氏の作品を選んでいる。これも現代人の好みにあう唐津が作れている証拠なのではないかと感じる。これからまだまだ成長を期待できる作家であり、広い受け皿をもった作家である。今後の活躍に期待したい。
ーギャラリー一番館ホームページご案内より抜粋ー
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