深川製磁の至宝
八代深川栄左衛門の二男に生まれた深川忠次は明治27年に独立して深川製磁を創立しました。
彼は経営者であり四六時中現場にはまって制作に携わってはいなかったと思われますが、
この香炉の名款には深川忠次の名前が記された極めて珍しい製品であります。
菊花が主題であり、蓋は精巧な透かし彫が施され、静謐さを漂わせた
いかにも茶人に好まれる体裁を取っています。
深川忠次にとってよほど思い入れ深き製品だったのでしょう。
今日これほどの品格を保った香炉にはなかなかお目にかからないものです。
まもなく海外より里帰りします。