明治伊万里ってすごいですね‼️
おはようございます
秋のうーたん祭りも終わり いつもの静かな花伝山房です。
3日間多くの方々にお越しいただき本当にありがとうございました。
静かになった朝、、、玄関佇み3日間のことを振り返っています。
玄関正面に飾っている【明治伊万里】に驚かれる方が多くいらっしゃいました。
決して目立つという訳でもありませんが、この壺が出すオーラはすばらしいのです。
是非直接ご覧になっていただきたい 【明治伊万里】です。
明治伊万里ってすごいですね
百十数年ぶりに有田へ里帰りしてきました。
鯉図を描かせたら後にも先にもこの陶画工の右に出る者はいないでしょう。また、釉薬がかかったこの磁器質だからこそ水中の鯉が活写できるのです。
まさしく明治伊万里の独壇場であり、比類のない鯉図の陶磁器と云えましょう。
急流を跳躍する動的姿態と、深淵に時節到来を窺うような悠然と泳ぐ静なる姿態が見事に描き分けられています。また、鮎を添えているのは鯉を引き立たせる為でしょうか。
立体的陶磁器ならではの表裏の表現です。
釉下彩の鯉の墨色の絶妙な濃淡、水しぶきの濃(だみ)は貪ることを忌避するかのように抑制が効いています。
緊張と弛緩が生み出す色合いは作者の職人技を超えた美意識ある人格を伴った高度な絵付けの技術です。
だからこそ、この品格が生まれたのです。
恐らく、作者は当時、名画工と謳われ、有田の陶業史に盛名を記した川浪竹山こと喜作だと思われます。
一方の豪華絢爛の明治伊万里の対極にこの鯉図は位置するかもしれません。
これだけの描写力があれば急流の水しぶきぐらいで蛇足の様に描き足すものはありません。
ただ、額縁代わりの繊細な運筆による縁飾りに輸出明治伊万里共通の装飾を見ることができます。全体を引き締める効果は相変わらずです。しかも、茶金というリサイクル顔料を用いて輝きを矯めた鈍い色合いまでが目立たぬように計算しつくされています。地紋は毘沙門地紋ともよばれる三方がらみを几帳面に施しています。
この時代の名画工の登場で、この鯉図や龍をはじめとした動植物のリアリズムも
明治伊万里の特徴の一つになりました。
自然観察力に魅せられ欧米で流行したジャポニスムの系譜とも云えるでしょう。
鯉をデフォルメしている処は浮世絵と相通じるものを感じさせてくれます。
やはり、欧米市場を意識していますね。
鯉は急流を登り変じて龍と化すと云われ、登竜門は立身出世の象徴です。
又、俎上の鯉というようにその潔さも、桜を愛するように慕われてきました。
どうぞ、実物をご覧下さい。機会があれば当方のギャラリーにもお立ち寄りください。
「器物は人の思想を写すものなり 名器を作らんとすれば先ず自身の高尚の思想を涵養すべし」