明治伊万里里帰り品

 

明治初頭は「花は桜木人は武士」という

物語が日本を売り込む象徴的な

イメージ戦略になった。


この類例はジャポニスムに精神性が

織り込まれた証左ではないだろうか。

潔さ、儚さ、もののあわれを物語る格好の

題材であった。


このティーセットの組み合わせは

イギリスのビィクトリア時代に流行り、

キャバレーセットと呼称された。


有田の深川家(後の香蘭社)の情報収集能力は

他に先んじていたのかも知れない。


マーケティングなどと

洒落た言葉もなかった時代である。


当時のロイヤルミント社のカメオのキャバレーセットも素晴らしいが、

この深川製のものは、やはり彼の地の人にとっても味わい深く、こよなく愛されたに違いない。